今回は
「登山パーティーのリーダーに大切なこと②決断する能力」に続いて
不特定多数の人が集まる登山パーティーおいて
リーダーをする上で大切なことは何なのか
実体験から感じたことを書いていきます。
僕は、不特定多数の集まりの中に身を置き、登山を嗜んでいる一人です。
登山経験も長くなり、そのような集まりの中で
リーダーとして10人程度の登山パーティーを率いる機会も増えてきましたので、
これからリーダーをする人の参考になる情報になればと思います。
登山パーティーにおけるリーダーとは……
前々回の記事の「登山パーティーにおけるリーダーとは……」で説明したので、省きますが
リーダーの決定には技術面や適性はあまり考慮されないというのが、サークルやSNSで集まった登山パーティーの現状であることから
リーダーに必要な能力って何だろう?と考えました。
リーダーとして必要な3つの能力
自分も何度かリーダーを経験する中で感じた、リーダーとして必要な3つの能力があります。
それが
- 周りを見る能力
- 決断する能力
- メンバーを信頼する能力
です。
今回はメンバーを信頼する能力について、紹介します。
メンバーを信頼する能力は最も大切な力
メンバーを信頼する能力は、リーダーにとって最も大切でありながら、身に着けるのが難しい能力です。
リーダーは、登山を企画する程度の実力はもっているはずなので、登山における基本的な技能は身についています。
そのような場合ひとりで何でもこなしてしまうために、人に頼ることが少なくなる(頼るという考えにたどり着かない)ことがあります。
ひとりでできると思っていることを
メンバーを信頼して協力し、パーティーの力を活用していくことがリーダーに大切なことです。
リーダーが見れることは多いようで少ない
「周りを見る能力」の記事で
パーティーの状況をリーダーが把握することが重要であると書きました。
そこでは書ききれなかったのですが
パーティーの状況というのは、大まかな点は把握できても細かい点全てを把握することは絶対にできません。
例えば、10人の登山パーティのうち1人のメンバーが
- 歩いている時にどのような息遣いをしているか
- どのくらいの頻度で給水しているか
- どのような靴紐の結び方をしているか
- 昨日の睡眠をちゃんととっているか
という点までリーダーが把握することは絶対にできません。
しかし、そのような細かい点が影響して、体調が悪くなってしまうことがあります。
そのような細かい点を全部把握するのは無理でも早めに察知する方法があります。
その方法は、パーティーの信頼できるメンバーに、パーティーの補佐をお願いすることです。
補佐といっても完全に任せるわけではなく
気づいたことやおかしいなと思ったことを報告してもらうだけで構いません。
これだけでパーティーを観察する目が2倍になり、問題に早く気付くことができます。
また、メンバーを信頼して任せることで
補佐を任せたメンバーに責任感が生まれるという副次的な効果もあります。
このようにメンバーを信頼し協力してもらうことは、パーティー全体にとって良い影響があります。
個人の力がパーティーの力に勝ることはない
登山でリーダーをしている時、判断に迷うことがよくあります。
そういう時は、まずパーティーに問いかけましょう。
前の記事で紹介した「パーティーの意見を収集してから決断する」に少しかぶりますが
登山パーティーを組むメリットは、複数人の視点で考えることができる点です。
また、不特定多数の人が集まるパーティーにはメリットがもう一つあって
優れた能力を持っている人が紛れていて活躍してくれる時があるということです。
例えば
初めて行く山域で、2つの道のうちどちらの道がより安全か分からなかったとしましょう。
地図で見る限りも、安全性についての情報はありません。
そんな時にパーティーに問いかけます。
すると、その山域を何度も歩いた経験豊かな人が 、不特定多数の人が集まるパーティーに紛れている時があります。
そのような人から情報を得ることができれば、より正しい道を選択できるでしょう。
リーダーは登山の全てを知っているわけではありません。
パーティーが持っている情報をうまく引き出し、パーティーにとって正しい答えを選択できることがリーダーには大切です。
メンバーに信頼してもらうには、まずリーダーがメンバーを信頼する
ぼくは、「自分のことを信頼してくれていないと感じる人を、人は信頼することはない」と思います。
リーダーの行動や態度を登山パーティーのメンバーはよく見ているので、信頼しないという態度が出ていればメンバーと良好な関係は築けません。
例えば、こんな話があります。
- リーダーが宿泊する山小屋を予約してくれていました。
- 天候不順のためキャンセルの電話を入れたところキャンセル料が人数分発生しました。
- 山小屋の多くは、天候不順によるキャンセル料はとりませんが、そこは例外でした
- リーダーは責任感から人数分のキャンセル料をメンバーに報告することなく支払いました
もしこの事実を登山パーティーのメンバーが知ったら、どう感じるでしょうか?
僕なら
あっ、自分は天候という仕方ない理由でキャンセル料が発生した時に、リーダーに文句を言う人間だと捉えられているんだ
と感じます。
今回のリーダーは自ら責任をとったつもりが、登山パーティーのメンバーからの信頼を失うことになりました。
もし正直にキャンセル料が発生したことを伝えれば、快く払ってくれるメンバーだったかもしれないのに、です。
パーティーの連帯感はお互いが信頼し合ってこそ。
リーダーがメンバーを信頼しないことには、良い関係性は築けません。
まとめ
今回は、登山パーティーのリーダーに大切なことの一つ「メンバーを信頼する能力」
について紹介しました。
3本の記事にわたって、登山パーティーのリーダーに大切なことを紹介しましたが、少しでも理解できましたでしょうか?
長い間リーダーを務めている人も、初めてのリーダーだった時期があります。
今回の記事を読んで、初めてのリーダーに対する心構えができたら、僕もうれしいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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